毎年、掘り立てのたけのこを送ってくださる友人がいる。「くださる」は「友人」の語とあまり相性が良くないようにも思えるが、「くださる」としか言いようがない。届いたたけのこを前にして「こんな何も持ってない私のために……」などと呟きながら落涙してしまいそうになるレベルである。本当にありがとうございます。
たけのこは丸ごと茹でた方が良いということになっているらしいが、しかし送っていただくたけのこはあまりに立派すぎて我が家の鍋には入らない。毎年届くならでかい鍋を用意したらどうか、と言われるかもしれないが、おそらくそんな鍋を買ったら今度はその鍋がシステムキッチンに入らない。たぶん学校給食のシチューが入ってるような鍋じゃないと無理だ。なのでたけのこに一言謝りつつ横に半分にして下茹でする。私の仕事机の向こうには、近所でふらっと買った赤唐辛子のブーケが下向きに吊り下げられていて、そこからぽきぽきと赤唐辛子を手折って下茹での友にする。都会暮らしといえど、なんとなく大地の恵みというものを感じられて幸せである。そんなお手軽インスタントな大地の恵みはホンモノではないと誹られるかもしれないが、誰にもこの私の幸せは止められない。
下茹でができたらあとはもう毎食が天上の食事のようである。「君と一緒なら、なんだってできる」と、たけのこの手を取って伝えたい。もう半分に切られて茹で上がってるけど。さて、まずはたけのこに主役を張ってもらおうと思っていたが、たけのこご飯の炊きあがる香りを想像したところで負けた。まずはそこからだ。ちなみに主菜はイワシのカレーソテー。せっかくのたけのこの香りをスポイルするのではないかと危惧したが、とんでもない。たけのこご飯とスパイシーなおかずは思った以上に相性が良かった。定番にしていきたい。それが昨晩。それから、残ったたけのこご飯でおにぎり、たけのこのペペロンチーノ、青椒肉絲とつないだ。青椒肉絲は肉は塩豚利用、生姜を多め、人参にもやしも加えてボリューミーに。たまらん。たまらんね、たけのこ。
そしてまだまだ、まだまだ残っているのだ。木の芽味噌をつくろう。木の芽味噌和え。木の芽味噌焼き。あー楽しみだ。春に浮かれる食卓である。ありがとうございます。
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