身の回りのことで大変にばたばたしており、日記を書かないあいだに金木犀の香る季節が到来。近所の神社の境内には銀杏の実がぼとぼと落ちて、こちらはこちらで臭っていたりします。
そんな気持ちのよい秋、とても久しぶりに白井光子先生のマスタークラスに参加してきました。以前いっしょに受けていた歌の方の紹介で、その方の後輩さんにピアノを頼まれたのです。なんでもその当時のデュオを聴いて、私のピアノを良いなあと思っていてくれたとか(お世辞……?)。そうして共演してみたいと思っていただけるのはとても嬉しいことです。
白井先生のマスタークラス、実はサイトウ・キネンの合宿にも参加したことがあるんですね。奥志賀の山の中でおいしい食事をもりもり食べて太りながら毎日レッスンに明け暮れた日々、今でも特別な思い出。人生でいちばん肥えていたのがあの合宿が終わったその日だった。白井先生に「あなた痩せたんじゃない」と言われてしまったのはそんなわけもあるのでしょう。ただでさえ最近は誰にでも痩せた痩せたと言われてるくらいですから。
体重のことはさておき、「あなた上手くなったんじゃない」と言っていただけたのは嬉しかった。年齢相応に成長できているなら良いなあ。
そんなマスタークラスで、我々のデュオのレッスンではなかったのですが、白井先生がおっしゃった言葉が印象に残りました。「自由になるために勉強しているんだから」、というのがそれ。私なんかが言える立場じゃないかもしれませんけど、本当にその通りだと思う。「守破離」という言葉がありますが、自由というのはこの「離」に至った状態ということですね。テクニックを学ぶのは、テクニックを意識せずに音楽を操れるようになるためという逆説。この「意識せずに」の部分、最近ちょっとだけ実感としてわかってきたような気がします。容易なことではないのです……。
いままさに「テクニック」をたくさん学んでいる方は、「テクニック」はツールに過ぎない、ということを意識の片隅に置いておくと少し気を楽にして勉強できるかもしれません。料理の腕も調理器具も大事ですが、食材とレシピはもっと大事なんですよ、みたいな。
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