「ピアニート」の方の演奏動画2つをあげました。ヱヴァ地上波放送に乗っかったおかげか、ニコニコではとてもたくさんの方に見ていただけて感謝です!
ということで伸びてないYoutubeの方をリンクしておこうっと。
まずヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qの劇中でカヲルとシンジが連弾する “Quatre mains” という曲のソロ編曲。ソロ編曲と言っても物理的に不可能なところを刈り込んだ程度で、ほとんどそのまんま片手で一人分を弾いてるだけです。そういうわけで右手の跳躍には(あ、左手も……)かなり無理があって、他人が譜面渡してきたら毒づきたくなるレベルですが、まあ書いたのが自分だから仕方ないね。勇ましく、またジェットコースターみたいな音楽なのですがどこか爽やかな叙情があってとても魅力的な曲です。作曲はもちろん鷺巣詩郎さん。ちなみに私、旧エヴァの究極サントラボックスである “S2 WORKS” を持ってるんですよ。当時の自分としてはものすごく思い切った買い物だった記憶。生まれてこの方、これより高いサントラは買ったことがありません。
で、この曲の劇中での連弾シーンについて。映画ではカヲルがファースト(高音担当)、シンジがセカンド(低音担当)をやるんです。子どものピアノ発表会とかを思い浮かべるとわかると思うんですが、連弾って普通は支える役=先生がセカンドで華を持たされる役=生徒がファーストなんですよね。もちろん発表会用の曲ではなく「連弾曲」として書かれたものは両者が対等ではあるんですが、たとえばペダルを担当するのは必ずセカンドの人ですし、基本的に音楽の骨格を作るのが低音の役割なことに変わりはない(※今回の曲の場合、シンジとカヲルは完全にノンペダルで弾いていたようにも思えますが)。
カヲルはシンジを教える立場ですから、本来ならシンジに高音を受け持たせるのが自然な描写だったはず。もし、そこをわかっていてあえて逆にしているのだとしたら……? 妄想も捗ります。カヲルがシンジに寄せる信頼(控え目)、みたいなものが表されているのかも!?
そして魔法少女まどか☆マギカの劇伴から “Symposium magarum” ピアノ編曲。これ、劇伴として、とても!良い音楽です。これはもう明らかに「あのシーン」のために特別に発注された曲と考えて間違いないでしょう。ポイントは、梶浦由記さんの得意技でもある「四度」音程やエキゾチックな音階による禍々しさの表現(まどマギの劇伴でも、不穏な雰囲気を作るために多用されています)と、あえて陳腐を目指したようなバロック風の定番ゼクエンツが交互に現れるそのバランス感覚。おどろおどろしい部分だけでなく、ゼクエンツ(同形反復)の利用によって醸しだされる「止めたくても止めようがない」ような感覚も、戦う側の絶望と見事にリンクして感嘆します。
それから、弦楽合奏という編成、何よりヴァイオリン・ソロの泣きの旋律が……視聴者はもう、それだけで色々と思い浮かべてしまう。そのソロの旋律もまた、はじめは人間的な悲しみをたたえて奏でてるんですが、最後の盛り上がりで一瞬だけこう、気持ち悪いくらいの歪んだ形になるんですよね。あざとい。あざといけど、イイ! 曲の終わりにあの「営業のテーマ」のモチーフがちらっと現れる魅せ方も上手い。
弾いていてすごく感情が乗せやすい……というか、勝手に気持ちが入っちゃう音楽でした。原曲のヴァイオリンの方も弾いていてめちゃくちゃ楽しかっただろうな、と想像してしまいました。梶浦さんは、たとえば菅野よう子さんみたいに音楽語法・技が幅広いわけでは決してないと思うんですが、持っている技を組み合わせるときの明確な意志とアイディアが凄い、アツい。
というわけで、両方ともとても楽しく撮りました。それぞれ去年、今年のSF大会で初お披露目したものなのですよね。ガンバスター幻想曲もSF大会が最初だった。SF大会ありがとう。
あ、ちなみにピアノがカワイなのは、あの場所にあるピアノがカワイだったからというそれだけの理由です。YAMAHAがあった方がヱヴァQの「完全再現」には良かったんですケド。色々な条件から最も動画が撮りやすいのがあの場所なのです。
Fantastic arrangement and performance!! Is there a way I could get the sheet music of your version of Quatre Mains?
Thank you! I’ve not made the clean sheet of that song. If I release the sheet, I’ll announce about that.
はじめまして
生徒さんに教えられて、Youtubeで拝見しました。
一目惚れ、一耳惚れ、です。
探しに探して、ここまでたどり着きました!
楽譜、出されるときには、教えてくださいませ!