アルカン ピアノ・コレクション1 《交響曲》
ALKAN Piano Collection 1 «Symphonie»
レコード芸術特選盤
音楽現代推薦盤
読売新聞サウンズBOX推薦盤
平成27年度(第70回)文化庁芸術祭参加
・発売:2015/10/07発売
・レーベル:コジマ録音 ALCD-7193
・税抜価格:2,800円
・録音:和光大学ポプリホール鶴川 2015年4月21-23日
・解説:ジャック・ギボンズ、森下唯
近年ユダヤ系フランス人作曲家Ch. V. Alkan (1813-1888) の作品が演奏される機会は次第に増えつつありますが、まだ決して充分に多くはありません。これは、その作品の質を考えると、極めて不当なことと言えるでしょう。
ブゾーニが、ベートーヴェン以降で最も重要なピアノ音楽の作曲家として示した5人は、シューマン、ショパン、リスト、アルカン、ブラームスでした。またコルトーは「そのすべての作品をレパートリーとするに値する」すぐれた作曲家のひとりとして、フォーレ、ドビュッシー、グリーグなどと並べてアルカンを挙げています。しかし、現在のアルカンの知名度や評価はここに名を連ねたほかの作曲家と比べれば明らかに数段落ちます。
彼の音楽に強く惹きつけられる人は後を絶たなかったにもかかわらず、その功績が無視されてきたのにはいくつもの理由があります。そもそも作曲者本人が、ある時期からほとんど人目を避けるようにして暮らし、奇人扱いされていたこと。また、彼の曲の多くが、演奏に大きな技術的困難を伴うものであること。そして、奇抜な発想による風変わりな作品をいくつも残し、正統派の作曲家ではないというイメージが先行していたこと。生前の評判や、作品の名技性、奇抜性などが複合して引き起こした負のフィードバックが、現在もまだ働き続けているのです。
アルカン作品を収めた録音資料はいまだに限られており、選択の余地は少ないままです。アルカン独自の哲学、趣向、技法などを充分理解・咀嚼するためには、演奏家が腰を据えて彼の数々の作品と向き合う必要があるため、それも無理からぬことと言えるかもしれません。
本作は、東京藝術大学大学院の修士課程でアルカンを研究テーマに選び、また全日本ピアノ指導者協会(PTNA)オフィシャルサイトでアルカン作品の解題を2年にわたって連載するなど、アルカンに深く共感しながら活動を続けてきたピアニスト・森下唯が、満を持してその解釈・研究の成果を録音として残すものです。世界でも2例目のレコーディングとなる貴重な「スケルツォ・フォコーソ」をはじめ、アルカンの語法、ユーモア、精神性を精細な音質で収録し、これからの世界標準となるべきアルカン演奏の一例として記録します。
ソナチネ イ短調 作品61 1.I アレグロ・ヴィヴァーチェ ■Sonatine, en la mineur Op.61 I Allegro vivace |
2. II アレグレッティーノ ■II Allegramente |
3.III スケルツォ・メヌエット ■III Scherzo – Minuetto. Leggiermente |
4.IV テンポ・ジュスト ■IV Tempo giusto |
5. 軍隊風奇想曲 作品50 ■Capriccio alla soldatesca Op.50 |
6. 戦場の太鼓 作品50-2 ■Le tambour bat aux champs |
すべての短調による12の練習曲 作品39より 第4番~第7番 《交響曲》 7. 第1楽章 アレグロ・モデラート (第4番 ハ短調) ■Douze etudes dans tous les tons mineurs Op.39 Symphonie 1er mouvement: Ut, Allegro moderato |
8. 第2楽章 葬送行進曲:アンダンティーノ (第5番 ヘ短調) ■2e mouvement: Fa, Andantino |
9. 第3楽章 メヌエット:メヌエットのテンポで(第6番 変ロ短調) ■3e mouvement: Si bemol, Tempo di minuetto |
10. 第4楽章 フィナーレ:プレスト(第7番 変ホ短調) ■4e mouvement: Mi bemol, Presto |
11. 夜想曲 第1番 作品22 ■Nocturne Op.22 |
12. スケルツォ・フォコーソ 作品34 ■Scherzo-focoso Op.34 |